- 2004年7月28日 12:09

今年のツール・ド・フランスでよく見た黄色のリストバンドには、こんな背景があります。
今年、前人未踏のツール・ド・フランス6連覇を達成したランス・アームストロングですが、彼が癌から生還したことは有名な話ですよね。
トライアスロンの若手強豪選手として登場した彼は、自転車レースに専念するようになります。
自転車レースの本場、ヨーロッパを中心に活躍し、トレーニングで鍛え上げられた筋肉質の身体から生まれるパワーと、テキサス流の鼻っ柱の強い性格で、次々と勝利を重ね、なんと20代前半で世界選手権のタイトルも獲得してしまいます。
この頃の彼はワンデー・レースと呼ばれる1日で勝負が決まる一発勝負のレースで、爆発的な力を見せつけて名前通り"豪腕"で勝利をもぎっとている印象でした。
こんな天才レーサーにも、悲劇が襲いかかります。
屈強な彼の身体が、癌に冒されていたのです。
その後の闘病と、復活、そして復帰後最初のツールでの初優勝とその後に続く(現在も続いている)6連覇は、特に今年見せた圧倒的な力による完全勝利は、まさに"超人"と称えるのにふさわしいものだと思います。
私は、ランスの熱狂的ファンというわけではないですし、どちらかというと毎年のツールではランスに挑む挑戦者達を応援してしまいますが、人として彼が成しえていることを、尊敬しています。
彼がどれだけの勇気を、人々に与えていることでしょうか?
彼は"ランス・アームストロング基金"という団体を設立して、癌と闘う人々の支援をしているそうです。
今回ツールのTV中継でも紹介されていましたが、この基金のキャンペーン用の黄色いリストバンドを多くの人がつけていましたね。
多くの有力選手がレース中にもつけていましたし、たくさんの観客や、マイヨジョーヌのプレゼンターのお姉さんまでつけていました。
このキャンペーンはナイキが後援していて、このリストバンドの購入費用がランスの基金に寄付される仕組みになっているそうです。
ツールの会場でもプロモーションされていたんでしょうし、ナイキ・タウンでも購入することが出来るそうです。(現在は、バックオーダーになっていますね)
私はこれ、単なるお祭りのようなものと思っていたんですが、このキャンペーンのWebサイトを見ると、ランスの基金の活動がとても幅広いことに驚かされました。
たとえば、"プロトン・プロジェクト"と言う活動があります。自転車レースをご覧になる方なら馴染みがありますが、プロトンというのは自転車レースのメイン集団のことですね。
ここでは、多くの人が参加できる活動という意味で使われています。
全米をいくつかのリージョンに分けて、その各リージョンにメンターと呼ばれるコーディネイターが置かれています。そして、ここがいいのですが、各リージョンごとに参加型の様々なイベントが行われているんですね。
もちろん自転車レース! そのほかにも、サイクリングやランニングのイベント、ツール・ド・フランスの鑑賞パーティ!! ディナー、バザー、ゴルフ・コンペなどなど。
ただお金を出して寄付するというわけではなく、自分たちで参加して、楽しんで、その費用の中から寄付をするという考え方なんですね。
そのような仕組みを、成功者であるランスがサポートする、企業もサポートする。
この辺の仕組みは、アメリカのとても良い面だなぁと思います。
成功したスポーツ選手と、社会的な問題を解決する努力と、一般市民の楽しみが、巧く調和しているんですね。
私もこんなサイクリング・イベントが東京であったら、是非出てみたいです。
残念ながらまだ北米だけの活動ですが、Webには少し遊べる仕掛けがあります。
ランスが先頭を引っ張るプロトンに加わって、走ることが出来るんですね。
さっそく私も赤いジャージで参加させて頂きました (^^)

これだけ多くの人の希望や、活動の象徴になっているランス・アームストロングという選手、彼にとってツールとは、負けることの許されないものなのかもしれません。
今年のツールのスタート台に立ったとき、彼には"負けてはいけない"という想いが、他のどの選手よりも強かったのではないでしょうか?
来年の7連覇についてのインタビューに対しても慎重な答え方しかしないのは、これがもはや彼個人の記録や、イベントではないからなのでしょうね。
つくづく、偉大な選手であると思いました。


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